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2013-06-30 Sun 15:27
暴走ペパーミントにようこそ。ここは雑記と小説のサイトです。受験のため夏以降更新停止予定です。
初めての方はこちらへどうぞ。 更新履歴 五月二日 「無色少女に祝福を」第十七話後書き更新。 次の更新は六月予定です。 以前の更新履歴はこちら↓ |
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2012-05-01 Tue 10:19
祭梨の決心は固いようで、それから彼女がその話題を出すことはなかった。本当は、オレが彼女を追いつめてしまったのかもしれない、と少し後悔していた。
「・・・静人」 「何だ・・わっ」 死ぬ気でボールを取った。それはいつかの硬球ではなく、練習用のゴムボールだった。 「脅かすなよ」 「・・・悪いな。でも、なんかつらそうだったし。・・・キャッチボールしない?」 にっ、と津志は悪戯っぽく笑った。こいつはもともと、こういう性格なのだ。 「・・・ありがとな」 「いいって」 運動場の片隅で、ゴムボールをひたすらに投げ合う。 「・・・お前もさ、いろいろ大変なんだろ?」 「え?・・・何が?」 「・・・ほら。家がさ」 少し驚いた。津志には、というか祭梨以外の他のやつに自分の家の事情をまともに話したことなど、一度もなかったからだ。 「俺、最近暗いかな」 「ううん。そんなことは・・・ないと思う」 「じゃあ・・。」 「いや・・ただ、なんていうかな、空気っていうか。勘っていうか。・・ちょっと前の、オレに・・・似た感じがしたんだよ」 「・・・ふーん」 「・・怒ったか?」 「いや、むしろ――」 そういうことを察してくれて、外へ連れ出してくれる。そして、決して深くは聞かない。ただ、黙々と球を投げて、取るだけ。そんな親友が、どうしようもなくいい奴だとしみじみ思った。 「・・・むしろ?」 「・・・なんでもねーよ。ってあ!」 やってしまった。うれしさのあまりか、ボールをフェンスの外へ出してしまった。 「先生、呼ぶか」 「いや、いいっていいって。すぐだし。俺、取ってくるよ」 ボールを取りに外へ出ると、ボールのあるはずの場所にボールがなかった。 「・・・あっれー?」 辺りを見渡すと、少し離れたところに、運動場を見つめる人影を見つけた。 「あの、すいません、ボール・・・って」 振り返った顔を見て驚いた。――菊川美湊。 「・・・・どうぞ」 「えっ、あっ、すみません」 なぜか敬語になりながら、ボールを受け取る。 それにしても、なぜ彼女がこんなところにいるのだろう。見たところ、オレと同い年か、それより下の年齢のはずだ。 「あの・・君・・」 「あなた…いつかのパーティーにいた人?」 逆に聞かれて、ちょっとドギマギしてしまった。 「え!あ、ああ・・・うん。いたよ。」 「・・・そう、ですか・・・。」 そういうと、彼女はまた顔をうつむかせてしまった。 「・・・君・・・学校は・・?」 「・・・・行ってない。」 不登校、ってことか・・? 「そう・・・なんだ。まあ、いろいろ――」 「行かなくても…お父さんが、行ったことにしてくれるの。」 「え?」 どんだけ金持ちなんだよ、菊川家。 「・・・・本当はそんなこと望んでないのに」 彼女がそう、ぼそりと言ったのを、オレは聞き逃さなかった。 「・・・うちが嫌い?」 「・・・・そういうこと、言っちゃいけないの。・・・わたしは、人形だから」 人形? 「・・・・人間だよね?」 「・・・・。」 おいおい、冗談だよな。 「まあ、でも、あんな母親じゃ…」 そういうと、彼女の無表情な目が、少し鋭くなったような気がした。 「・・・お母さんのこと、悪く・・・言わないでほしい。」 「え?」 「・・・・お母さん、ずっと・・・あの人のこと、探してたの…」 あの人、って。 「祭梨のこと?」 「・・・小っちゃいとき・・お母さんが、初めて話してくれたとき・・・言ってた。あなたには…お姉ちゃんがいるのよ、って。お母さんは、お姉ちゃんを手放したくなかった・・って。・・・一緒に連れてきたかったけど・・・もう、いなかったんだ、って」 そんな。そんなことって。 「なあ、本当に母親が言ってたのか!?それを、本当に?」 すると、彼女は戸惑いながら、頷いた。 「・・・・・そうか。」 「・・・・・わたし、あの人がうらやましい。」 ぼそり、とまた彼女が言った。 「え?何で…」 オレが聞くと、彼女はまた眉をひそめて、細々と続けた。 「・・・・私は、お人形と一緒だから。・・・二人の言うことを聞いてるだけの」 「え・・・・」 「・・・・その方が、二人とも幸せになれるから。・・・仕方ないのにね」 「いや・・それはどうかな・・・」 そういうと、その眼がさらに鋭くなったような気がした。 「・・・小っちゃい頃は、いろんなことやって、いろんなパーティーに出て…楽しかった。それは・・本当。」 だけどね、と彼女はついに本音を口にした。 「いつからか、みんなが私のことを褒めるたびに…その視線が、私に向いていないってわかったの。テストでいい点をとっても、ピアノのグレードをとっても…。みんなが見てるのは、私じゃなかったの…優秀な自慢の娘を持つ、実業家の眼だったの」 「それって・・・」 「・・・それから、私は人形になった。お母さんとお父さんの言う通りにすれば、お父さんの評判が、よくなるから…。だから、このほうがいいって、私納得してる。・・・でも」 彼女は少し顔を上げた。 「どうしてかな・・・あの人がうらやましくなったの。・・・・なんでかな」 俺はその答えを知っていた。きっと俺が祭に対して思っていた心と、同じだと思ったからだ。・・・でも、俺はその答えを言わなかった。 「じゃあ、お前が変わればいいんだよ。」 「・・・・?」 全く予想していなかった、という風に、美湊が初めて目を見開いた。 「親の幸せってのはさ、子供が元気でいることだろ。・・・俺より年下のくせに、気―使ってんじゃねーよ。・・・言いたいこと言えよ。お前には親がいんのに、何で言いたいこといわねーんだよ。・・・よっぽど贅沢だ」 言ってしまってから、また言ってしまった、と思った。・・・でも、俺はなぜか、後悔しなかった。多分、彼女も津志のようになってほしかったからだと思う。 「・・・・あなたって、・・・不思議な人。・・・そんな風に言ってくれる人いなかった・・・。」 俺はその声が少しおかしいことに気が付いた。見てみると、美湊は泣いていた。・・・本人も、気づいてないみたいだった。 「・・・・いなかったの」 彼女は俺の前でひっくひっく言いながら、その言葉を何度も繰り返した。いなかったの。いなかったの。いなかったの・・・。 俺はチャイムが鳴るまで、彼女のそばにいた。俺の手には、ゴムボールが入っていた。 |
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2012-04-30 Mon 10:18
こんなことを、本当は知るべきではないことはわかっていた。
「静人・・・・ちょっと、聞きたいことがあるんだけど・・・」 でも、そう切り出してしまった。もう後には引けなかった。 過去なんて、本当はどうでもいいことかもしれない。・・・でも、あの人にあったとき、思ってしまった。 どうして、あの人を静人君が知っているのか。一体、静人君はどこから来たのか、何故・・・・美瀬さんが、彼を置いていってしまったのか。私は何も知らないということに改めて気づいたと思った。 「いいよ」 静人君はすぐに答えた。 「じゃあ・・・夕ご飯の後、私の部屋に来て」 「・・・わかった」 身体中の力が抜けた気がした。 夕食中はずっと静かだった。声を出してはいけない気がしたのだ。きっと、ほかの二人も同じ気持ちだったと思う。 「・・・・入るよ」 「どうぞ」 夕食後、約束どおりに彼は来た。もうこのとき、本当はお互いに何を話したいのかが決まっていたのだと思う。 「・・・・」 「・・・・」 しばらく二人とも無言だった。三十分ほどたって、沈黙を破ったのは静人君だった。 「・・・俺の両親は――事故でなくなったんだ。」 それは思っていたよりも衝撃的な告白だった。 「・・・・えっ・・・」 私のこの顔を予想していたに違いない静人は、きわめて冷静に話を続けた。それは大体このような話だった。 静人の母親はやはり美瀬さんだった。駆け落ちした金持ちは、静人のお父さんだった。しかしそのお父さんも自分の家を捨てていた。実際には二人とも勘当されていたのだ。そこまで愛し合って結婚した二人は、その子供である静人にも同じだけ愛情を注いだに違いないことは想像がついた。――しかし幸せは長くは続かない。彼が6歳のとき、最初の言葉のとおり、二人は事故にあってなくなった。歩道に突っ込んだ居眠り運転のトラックにひかれるという悲惨な形で。その場に静人も一緒にいたが、両親二人によってすんでのところで突き飛ばされたために無傷だった。それからの彼は不幸だった。場合によっては私よりも不幸な境遇だった。彼は子供のいなかった父親の兄の金持ちの家に引き取られた。そのころの生活は、彼は話したくないといった。私もうなずいた。 「・・・で、あの二人とは、そのパーティーであった。」 私の聞きたかったことがわかったかのように、彼はそれで話を締めくくった。私はもう何も隠すことがなかった。 「私は・・・実の両親に捨てられたの。」 言葉はすらすらと出てきた。静人は、驚いていた。彼のこんなに驚いた顔を見たのは、初めてかもしれなかった。 「・・・それで、あの二人が来たのよ。」 そう締めくくった。 再び沈黙がやってきた。今度は十分するかしないかで静人が切り出した。 「・・それで、行くの?・・・実の母親のところ」 私は、まだわからない、としか答えられなかった。 「・・・十年振りだとしても・・・実の母親だもの。」 冷静に答えられた。彼女だって、最初からあんな性格じゃなかったと思う。離婚するまでは、疎ましかったとしてもちゃんと私を育ててくれたのだから。 「・・・・会えて、嬉しかった?」 「・・・それは・・・・どうかな」 十年離れていれば、あんなものだとも思った。・・・ただ、言えることは、そこにはテレビや漫画の世界では絶対に描けない感情があった。 「・・・でも俺は、あんたがうらやましいと思う」 「・・え?」 私は、はっとして静人の顔を見た。・・・・こんなに険しい顔をした彼を見るのも、初めてだった。 「あんたには・・・あんたにはまだ、血のつながった家族が、いるじゃないか。例え最悪だったとしても。・・・・あんたには肉親がいるし、妹だっている。・・・俺にはそのことが、やっぱりうらやましい」 「静人」 「だけど」 静人はほんの少し口をつぐみ、そして言った。 「・・・それは俺だって言えることなんだよな…血のつながりって・・・残酷だな」 残酷。・・・たぶん、その言葉の意味を、彼は本当に理解してはいないだろう。でも、その表現は、ものすごく的確で、私たちの境遇をすべてあらわしてしまっている気がした。 十年間を、血のつながりのない間で暮らしてきて、血のつながりが今更干渉してきた私と、七年間を、血のつながりの間で転々としてきた彼…。 私たちは、運命を大人たちの身勝手な都合に翻弄されながら、今日まで生きてきたのだ。 血のつながりは残酷だ。・・・でも、こうも思う。このつながりがなかったら、果たして私たちは、この町に来れたのだろうか。 京奈たちと、仲良くなれたのだろうか。 そう考えると、この残酷さは、今の私たちのためにあったのかもしれないとも、思ってしまう。どうしても、ここからは抜け出せなかったのだ。 それでも。私たちは、違っている。彼にはいない人が、私にはいるのだ。 「そうだよね。・・・ごめんね。静人。私、贅沢よね」 「え?」 「正直、母親のことなんて、今更どうしてって思った。自分勝手だって。でもね」 私はしっかりと、静人の眼を見つめて言った。 「・・私は、あなたよりもずっと恵まれている。血のつながった母に、妹までいて。父親も…。」 「でも、祭梨は、」 「いいの。ごめんね、私ワガママだった。自分だけ苦しいって思ってた。そんなわけ、ないのにね。・・・だから、私、決めた。」 何を?と、静人は泣きそうな、不思議そうな顔で聞いた。 「・・・あの人と向き合う。・・・文化祭が終わったら、こんどはちゃんと話し合うよ。」 彼は何も言わずに、ただ頷いた。 「・・・さて、寝ようか。じゃあね、おやすみ」 「ま、待ってよ」 ふいに、呼び止められる。 「何?」 「・・・・出ていくかも、しれないの?このうち」 「・・・・さあね。」 私は、彼にそれだけしか言えなかった。 |
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2012-04-29 Sun 10:15
俺は、確かにあの親子を見たことがあった。前にいた家では、家主の叔父夫婦がパーティー好きだったために、よくパーティーが催されていた。まあ、金持ちの娯楽というやつだ。俺はそんなものにはまったく興味がなかったが、叔父の体面により出させられていた。そこで俺は、社交辞令とか、そういうものを覚えた。覚えなければ、さらに自分の位置が悪くなるだけだとわかっていたからだ。そんな中で、あの親子はよく来ていた。何故印象に残っているのかというと、俺が早く帰りたい顔を隠しながら笑顔でいるのに、あの女の子はまったくの無表情だったからだ。ほかのやつらには「いい子」と見られたかもしれないが、少なくとも俺にはそう見えた。けらけらとほかの金持ちと変わらない声で笑う母親とは対照的だったことを覚えている。
気になるのは、今日祭梨が彼女の母親のことを、「あの人」といったときだ。このとき、彼女は俺が見てきた(まあ数ヶ月だけど)祭梨にはありえないような――なんというか、恨みのようなものがこもっていたような――声で、「あの人」、といった。俺は、何かが絶対にあるような気がした。 で、まあ、本当はこんなことしたくなかったけれど。 「・・・・何の用?」 京乃の家に行くなんて。 「いや、あのさ、・・・・お姉さんは?」 「お姉ちゃんなら祭梨と――その、吉弘と一緒に文化祭の買出しに行って遅くなる、って」 ああ、だから開口一番不機嫌だったのか。ライバルに先を越されたから。・・・まあもっともその『ライバル』はまったくそんなこと思ってないだろうけど。 「そっか・・・いないのか。」 「・・・・何かあったの?」 「いや、別に」 こいつが知ってるはずないしなあ、と思いつつ、聞こうと思って口を開く。 「あのさあ・・・」 「あ、お姉ちゃんのこと好きになった?無理無理、諦めたほうがいいって。お姉ちゃんの理想超高いから」 「そうなんだ・・・ってちげーよ!!」 何だかこんなやつに話すのがばかばかしく思えてきた。俺は頭の中で冷静になると、落ち着いて言った。 「じゃあ、とりあえずお姉さん来るまで待たせてもらってもいいか?」 「えー?望み薄いと思うけどなあ・・・。」 だから違うって!なんで女はそういう発想しかできないんだよ!幸香にまた少女漫画でも借りたのか!?・・・・なんて言ったら蹴りが飛んでくるか泣き出すのは目に見えてわかったことなので、落ち着いてから正直に言うことにした。 「・・・違うよ。祭梨のことを聞きたかったんだ。」 「え?・・・・なんで?まさか祭梨のこと・・?」 「・・・・・祭梨の昔の事を聞こうと思ったんだよ」 この言葉を搾り出したときには、京乃を一発殴っても許されるだろうぐらいに思っていた。切れる寸前。 しかし、言い終えた直後、京乃の表情が変わった。顔色が変わったとでも言うのか、雰囲気のようなものが変わっていた。 「・・・・それは・・・・多分、お姉ちゃん知ってても教えてくれないと思う。・・・というか、なんか、話したくないっていうか・・・・。」 え? 「前に、私も聞いたことがあるの・・・恥ずかしい過去とかあったら、その・・・」 有利になるってか。ほんっと女ってこえーな。 「・・・とにかく、お姉ちゃんに聞いたの。『なんか祭梨の、昔の恥ずかしい経験とか知らない?』って。・・・・そうしたら、お姉ちゃん・・・私に言ったの。『あの子の場合は、そんな過去すらないくらい不幸だった』って。『もしあったとしても・・・・ほかの人には絶対に言わない。きっとそれは絶対に彼女の不幸な過去の一部だと思うから。たとえそれがあんたでも。』って・・・。」 不幸な、過去・・・・。それは、たとえば・・・親の離婚とか・・・・か? 「・・・だから、どういう理由か知らないけど・・・・お姉ちゃんにだけは聞かないほうがいいよ。あの時・・・・すごく怒ってた。あんなにおこってるお姉ちゃんを見るのなんて・・・そうそうないもの・・・。」 「・・・・・わかった。じゃあ、もう聞かない。」 「うん・・・ごめんね。・・・・あのさ」 門から去ろうとする俺に、京乃は言った。 「・・・無理に・・・・聞くつもりなの?・・・・あの人本人に・・・。」 「・・・・・・そこまではまだ、考えてない。けど・・・・。」 「けど?」 「・・・・・・俺、きっと・・・あの人のほうから話してくれるかも・・・って思うんだ。」 何故だろうか。・・・そんな気がした。 「・・・わかった。・・・じゃあね。」 俺は、知りたかった。その哀しい過去を。知ってはいけない過去だとは思う。生きるうえでは、こんな哀しいことを知る必要はないし、知らぬが仏ということもわかっている。でも、それでも俺は、知りたかった。そして、多分、いずれそれを俺は知ることになるだろうことも、わかっていた。 その夜のことだった。 「静人・・・・ちょっと、聞きたいことがあるんだけど・・・」 その祭梨の言葉が、最後のしがらみを断ち切る始まりだったのかもしれない。 |
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2012-04-28 Sat 21:39
「どうして、あなたがここに・・・!?」
私の質問に、彼女はタバコをふかして言った。 「どうして、ね。あの男があのうちを出て行ってたことも驚きだったけれど・・・祭梨。まさかあの男の後妻の実家にいるなんて。思いもよらなかったわ。まあ、まさかあの女も死んでるとは思わなかったけど。葬式も人が来なかったそうだし、ろくな女じゃなかったのねえ、やっぱり。」 私は切れた。 「あなたに、母さんがろくな女だなんていう資格はないわ!!自分は金持ちと浮気しといて、私のことも最後は放って置いたくせに!!何で今更私のところに来たの!?」 彼女は顔色一つ変えずにため息をつくと、行った。 「そうそう、そのことよ。今回そのことを話に来たのよ――祭梨。・・・あなた、うちへ来る気はない?」 え?・・・・え?今、この人なんて言ったの? 「あなたを引き取りに来たのよ。少し前にね、今の夫に――ほら、あなたの言う金持ちのね――私には実はあの時子供がいて、前の夫が引き取っているはずだけれど、連絡がつかないから、今どこにいるのかどうしているのかわからないのよ、って打ち明けたら、実の母と子が分かれるのはかわいそうだ、よし、その子をうちで引き取ろう、って言ってくれたの。感謝しなさい、こんなぼろ家じゃなくって、もっと大きくて、新しいうちに住めるのよ。絶対に悪い話じゃないわ。どう?」 私は思った。ああ、この人は。昔とちっとも―ちっとも変わっていない。 「・・・・・・嫌だ」 「え?」 「嫌だって言ったの。大体学校はどうするの?家ってどこにあるの?いきなりそんなこと言わないでよ!」 そう言うと、彼女は少し眉を動かして言った。 「あら、ずいぶん反抗的になったのね祭梨。昔はもっと従順な子だと思ったんだけれど――まあ、十年もたてば人も変わるわよね。小学生が高校生になるんだもの。・・・まあ、それとも?あの女の教育が悪かったせいかしら?あの時連れてった方がよかったのかもしれないわね――あ、そうそう、高校は転校するわよ?当然じゃない。探してたって言ったでしょ?しかも今の家の気風には合わないようだし。まあ、たかだか数ヶ月なんだから、思い出も何も何もないわよね―」 私は彼女が言い終わる前に、気がつくと彼女の頬を思いっきり平手で殴り飛ばしていた。 音が響いた後、彼女が倒れこみながら私を睨みつけるのを見て、私は我に返った。 「何てことするのよ・・・・っ実の母親に向かって!!私はあんたが幸せだと思って言ってあげてるのよ・・・!!」 「・・・私の幸せは・・・おかあさんとは・・・あなたとは、違う・・・・!」 私の幸せは、ここに来たこと。ここで生活していくことだったのに。 「もうこれ以上・・・・私の幸せの邪魔をしないで・・・・!!元はといえば・・・・もとはといえば・・・!!!」 私がさらに彼女を罵ろうとしたとき、 「そのへんでやめとき。」 という声が聞こえた。 「・・・・おばあさん・・・」 「祭梨の・・・この子のいう通りじゃ。どうか今日のところはお引取り下さらんか。今更あんたが・・・この子を引き取ってどうするつもりかはしらんがの。」 すると、彼女が今度はおばあさんを睨んで言った。 「・・・あなたにそんなことが言えるのかしら?調べたから知ってるのよ?あなたも昔・・・娘を勘当してるじゃない・・・!金持ちと駆け落ちした娘をね・・・!」 え? 「お、おばあさん・・・・?」 おばあさんは、痛いところを突かれたというか、辛い思い出を刺されたように、哀しそうに黙りこくってしまった。 彼女は開き直って立ち上がり、言った。 「まあ、今日はこの辺にしておくわ・・・あなただって、考えが変わるかもしれないし・・ね。あ、それと、あなたに紹介するわ。美湊、出てらっしゃい。」 そういわれて車から出てきたのは・・・・女の子だった。 「貴方の種違いの・・・父違いの妹よ。ほら、挨拶しなさい。」 女の子は、ぺこりと頭を行儀よく下げると、言った。 「・・・・菊川、美湊です・・・。よろしく、お願いします・・・・。」 顔を上げた彼女は、いかにもいいところのお嬢さんという感じだった。でも、何故か顔がとても哀しそうだった。まるで―笑わない人形のような。 「いい子でしょう?きっと、父親がいいせいね。じゃあ、祭梨。一週間はこっちにいるつもりだから。また、来るわ。」 彼女はそういうと、すばやく車に乗った。女の子・・・美湊ちゃんも、頭を下げてから車に乗り込んだ。車はすぐに行ってしまった。 「今の、って」 突然の声に振り向くと、静人だった。 「知ってるの?静人。・・・あの人の、こと――」 「あの人?・・・前に居たところで何度か見かけたんだ。女の子も。・・・それが?」 「あ、ううん、なんでもないの。ねえ、おばあさん」 見ると、おばあさんはいつの間にか黙って家の中に入ってしまっていた。それからその日、おばあさんはずっと黙っていた。 私はその夜、最近のいろいろなことを思い返していた。私には、気になることがいくつかあった。 ひとつは、たびたび会話に出てきた、美瀬という人。それから、その人と―静人君との関係。静人君といえば、前にいたところ、って一体・・・・親戚の家って言うのは聞いていたけれど。あと、おばあさんが黙ってしまった――金持ちと駆け落ちした娘。もし、これらがすべて繋がるとしたら――?もしかして、美瀬というのはおばあさんの娘で、静人が・・・・その息子、だと、したら――おばあさんは、静人のお母さんを・・・勘当した、ということ・・・? 「そんなことが・・・・・?」 でも、そう考えるとすべてのつじつまが通る。だとしたら、それはあまりにも哀しい事実だった。彼もまた辛い経験をしていたんだ。 あと気になることがもうひとつあった。私の異父姉妹であるという、美湊ちゃんのことだ。あの子の哀しそうな表情・・・それは、私に何かを訴えているようで、頭にしっかりと焼き付いていた。 |
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2012-04-15 Sun 10:41
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2012-04-04 Wed 21:39
「よっ・・・と。ま、こんなもんかな」
「おおーーーー!」 三日後に仕上がった御門台君の下書きは、それはそれは綺麗なものだった。 「すごーい。さっすが楓ちゃん。プロいね」 「オレらじゃこーはいかねーよな」 「そうねー。さすがに双子パワーでもね」 「・・・そこ双子って必要か?」 そんな双子のやりとりを抜きにしても、確かにうまかった。 「・・・・すごい」 「これ俺が清書するのか…。はあ」 横で、湖西君がガクッとうなだれている。 「・・・だ、大丈夫。なんなら私達も手伝うし」 「え・・・・」 すると、ずいっと京菜が現れてきっぱりという。 「ダメよ祭梨。こういうところでこの男をあまやかしちゃ」 「なーんでお前が出てくるんだよ、京奈」 「あら?何か、ご不満?」 満面の笑みを浮かべる京奈に、湖西君はなぜか、ばつの悪そうな顔をした。 「いいぞー、吉弘。ちょっとくらい歪んでも。俺が直す」 「おおー。頼もしいなー。」 苦笑いで答える湖西君に、そーそー、と遊吾君が腕を回す。 「色塗っちゃうと案外わかんないもんだし。」 「頑張れ、湖西君。」 そんな双子の後押しがきいたのか、彼はおーっし、と叫んで腕をまくった。 「いっちょやってみっかー!」 「おおっ、その意気その意気」 「頑張ろうね、湖西君」 すると、彼はにっと笑って、ああ、と答えた。 文化祭まで、あと、二週間を切っていた。 その翌日、私がいつもどおりに家を出たときだった。家の近くに、見知らぬ赤い車。・・・確か、これ外国の車だったような。そんなことを考えながら歩いていた。――今思う。犬も歩けば棒にあたる。このことわざは実在するのだ。 「あ、す、すみません・・」 「やっと見つけたわ・・・」 一瞬で前進の血が凍るのがわかった。忘れるはずもない、この顔。 「・・・・嘘」 「・・・十年振り・・・ね?祭梨。探したわ・・・」 そんな、まさか。 「まさかここにいるとはね・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・おかあ、さん?」 そう、私は当たってしまったのだ――最悪の棒に。 |
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2012-04-03 Tue 18:36
「・・・・あっ」
「何?どうしたんだよ吉弘?」 「・・・・なんでもない」 「・・・・どうでもいいが吉弘、さっさと進め」 ああ、といって返す。俺の発言に不思議そうにする遊吾とは対照的に、至って冷静に周囲への影響を述べるのがこいつ―御門台楓だ。いつもは本を読んでばかりいる。 「あのな楓、こういうところで堅物だとこれから一緒に作業する女子にもてねえぞ。もう少しやわらかく、」 「かといってお前のような軽いやつに女子が好印象を持つとも限らないけどな?」 その言葉に、遊吾はあっけなくKOした。でも実際のところ、楓はもてないということはない。むしろ中学時代はバレンタインに他校の女子からももらえるほどもてていたらしい。・・・もっともその情報を聞いたのは他でもない遊吾のため、僻んでいることはありありとわかる。 「なあ吉弘」 「・・え!?」 「もうちょいもてないやつの気持ちもわかってほしいよな!?」 「あ、ああ・・・まあ」 「だがもらいすぎても困るぞチョコとか」 「そこがいらっとくんだよ何の罪悪感もなくさあ!!」 また口げんかが始まるな、と思ったそのとき、放送が流れた。 『これより、新入生の北峰祭オリエンテーションを行います。生徒の皆さんは静粛に待機してください。』 とたんに、会場が静まり返る。 『それではこれより、両校生徒会長による北峰祭の説明と、合同クラスの発表を行います。』 すると、北峰東の生徒会長と北峰の生徒会長が、同時にステージに上がった。 「うちの生徒会長って」 「永崎神名先輩。ちなみに北峰東は柚木竜先輩よ」 「「・・・・。」」 「どうかした?それより、発表されるわよ、合同クラス。」 『それでは、発表されます。両会長は、スクリーンを下げてください。』 そして、緊張の中――スクリーンは、下げられた。 「・・・・え?」 「まじかよ。」 会場が、再び静まり返る。 『それでは、書かれている番号のプラカードの場所に速やかに移動し、整列してください。』 発表された私たちの番号は―― 発表された俺たちの番号は―― ―5番だった。 『それでは、両校互いを向いてください』 私が北峰東のほうを向くと、そこにいたのは―― 「・・・三河サン!?」 「え・・・湖西君!?」 湖西君だった。隣で、京奈がにっこり笑っている。 そして、ふと見るとかよちゃんが涙目の男の子と向き合っていた。―よくみると、かよちゃんに似ている。・・・そんなまさか。 「・・・・いやな予感的中―。」 「ふふっ、イヤだなあ遊吾。ついでだし、買い物付き合ってね」 はあ、と再び彼はため息をついていった。 「かんべんしろよ・・・・姉貴」 え・・・・え? 「面白い文化祭になりそうねえ。」 京奈が、にっこり言った。 「・・・・・双子の姉弟!?」 驚いたのは、私と京奈と・・・湖西君だった。 「何で教えてくれなかったの?」 「隠してたつもりはないよ?ただ、特に聞かれたこともないし。」 「小さい弟妹がいるのは知っていたけど・・・。」 「遊ちゃんも十分小さい弟だと思うけどね!」 「・・・オイ誰が小さいだこのクソ姉貴」 「あー、私にそんな口きくの。お小遣いカットに加えて今度のタイムセールに借り出させちゃおっかな。」 「・・・・・・すみませんでしたお姉様許してください」 「そう♪」 ・ ・・・うわあ・・・。 「完っ全に尻にしかれてんな・・・・。」 「いや、昔からこうだった」 「「!?」」 「昔から花代子はああいう性格で、泣き虫で甘えん坊だった遊吾を助けてたんだよ。さらにいろいろあって節約女王になってからは財布まで握られて」 「わあああ!な、なにばらしてんだよ楓!?」 「そうそう、あのころの遊ちゃん可愛かったねえ。私の後ろついてきて、かよちゃんって。それからすーぐおねし」 「だーーーーからばらすなーっ!!!」 うーん・・・果たして知り合ったばかりなのにこんな重大なこと聞いてよかったのかどうか。 「でも本当に遊ちゃんと合同でよかった♪いろーんなことが頼めるようになるしね♪」 「・・・・それが嫌で別の学校に行ったのに・・・・」 「だったらなんでもっと遠くに行かなかったんだよ」 「いや・・・学費とか交通費とか・・・・いろいろ・・・いろいろ・・・・。」 「・・・・聞いた俺が悪かった、スマン」 かよちゃんのうちって一体・・・・。 「ともかく、まずは打ち合わせでしょう?この私がグループにいる限りは、遅れなんて許さないからね・・?」 そう言った京菜の声には、有無を言わさぬ迫力があった。 そのとおりだった。北峰祭は学年ごとに展示が違う。三年生は各合同クラスで演劇、二年生は学校の教室のほとんどを使用した大規模な模擬店(通称北峰デパート)、そして一年生はパネル展示だ。私たちの合同クラスでは、大きなパネルの箇所をいくつかに分けた上でいくつかのグループを作り、それぞれ一箇所ずつ仕上げることに決まった。で、私のグループは私と佳代ちゃん、湖西君、遊吾君と御門台君、そしてグループ長の京奈を加えた六人だ。 「まず手先が器用そうな御門台君は下書きと細かいところの修正、双子は中の色塗り、吉弘、あんたは清書ね。祭梨は背景をやって頂戴。私は絵の大きさの割合をはかってから下書きの手伝いをするから。とりあえず道具持ってくるわよ!」 やっぱり京奈はすごい。・・・あの頭の中って、一体どうなってるんだろう?絶対私では無理だと思う。 「何・・・どうかした?」 「えっ。・・・ううん。なんでもないよ。」 「そう。・・・じゃ、はじめましょうか。」 こうして、私達の文化祭はここから幕を開けたのだった。 |
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2012-04-03 Tue 09:10
spec翔の感想です。タイトルが頭吹っ飛んでますが私は正常です。さとり可愛いです。
以前の感想とあわせてどうぞ。ネタバレ満載です。 |
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2012-04-02 Mon 21:35
「・・・・・。」
私は今、ちょっとした悩みを抱えていた。 「・・・祭梨、朝っぱらからスーパーのチラシ見て顔しかめるの止めなさい」 声に振り向くと、呆れ顔の京奈がいた。 「・・・え、そんなに・・・しかめてた?」 「うららかな女子高生とは思えないような顔をね。」 「・・・だって、このたまごが・・・百二十円で・・」 「・・・そこぼったくりで有名のトコじゃない。映画館の隣にあるスーパーなら、八十八円ってとこね」 「・・・・・・!!」 無意識に、口をぱっくり開けてしまった。 「さらに言うと、このトマトはコーヒー屋の向かいの八百屋」 「!」 「この豚肉一パックなんて駅前の方が三割安いわよ。」 「!!」 し、知らなかった・・・。 「家計を助けたいなら、そのくらいチェックしなさいね。」 言い返せなかった。 「でもこのきゅうりとにんじんは銀座のマートのタイムセールでもっと安いよ?」 「!」 「え!」 突然の声に振り向くと、そこに居たのは、かよちゃんだった。かよちゃんはにっこり笑うと、 「ちなみにさっき言ってたトマトだけど、駅の西口にある市場もオススメかなー。あ、果物だったら断然蓮見橋の近くの無人販売所ね。」 「なるほど・・・私もそこまでは知らなかったわ・・・。」 きょ、京奈が珍しく沈んでいる・・・。 「仕方ないと思うよ?近所の人しか知らないとこだし、さらに言うと銀座のマートのタイムセールなんて井戸端会議のウワサぐらいでしかわからないし。」 「・・・え、まさかかよちゃん・・・出たの?井戸端会議」 「・・・まあ一銭も無駄にしたくないからねー。でも京奈の情報力もさすがだけど。」 とにっこり言うところが、結構恐ろしかったりするこの子、入江花代子ちゃんは、中学時代、節約女王と呼ばれていたらしい。 「で、次のタイムセールって・・?」 「うん、今日の三時から三時半までだって。目玉は・・・カレールーで、主婦予測によると・・・五十円が相場かなー」 「ごっ・・!?」 つい素っ頓狂な声が出そうに鳴るのを抑えて、言った。 「い、いく!」 「そうこなくっちゃ♪」 「でもそう上手くいくかしら?」 「「え?」」 ちょいちょい、と京奈が指差した先にあったのは・・・『文化祭準備』の文字だった。 「え・・・・あれ、今日から・・だったの、準備?」 「あちゃあ・・・」 「カレールーは、あきらめたほうがよさそうね。」 50円が、私の頭の中で谷底に落ちた。 私達の通う北峰高校には、文化祭にある伝統がある。その伝統というのが、近隣にある男子校・北峰東高校との合同開催だった。 もともと、北峰東高校のほうが先に出来、時代の移り変わりで女子の需要も高まってきた。ここで考えたのが、共学にするのでなく、隣に女子高を作ってしまおうということだった。それが北峰高校。元の名を北峰女子高校。十年位前に共学になった今でも、男子は東、女子は北峰、という考えが根付いていて、あまり違いは見られない。 こうして地図で見るとほとんど並ぶようにできてしまった、性質がある意味正反対な二つの高校の文化祭を『北峰祭』という。 「あれ、そういえば湖西君も東だったよね・・?」 「そうね。会えるんじゃないかしら、そのうち。」 その日の放課後、一年生全員は北峰ホール(旧名北峰大講堂。北峰男子・女子両校の共同の講堂)に集合していた。 一割程度の数少ない男子生徒はともかく、女子の大半はかなりそわそわしていた。 「どきどきするー。」 「どんな人がいるかなあ?」 「先輩達の話だと、イケメン多いって評判だって!」 「文武両道って聞くしね!」 ・・・しかしそんな具合の女子達をよそに、私の横で暗い雰囲気をかもし出しているのは――かよちゃんだった。 「はあ・・・。私の50円が・・・。」 「まあ・・・し、仕方ないよかよちゃん・・・また次の機会に・・・・」 「そ・う・い・う・問題じゃないのよ祭梨ちゃん!いい!?これを逃すと春海書店の向かいのスーパーの5時からの半額セールしかないのよ!?一番安いシルバーカレーのルーでも・・・」 「ってまだあったの、今日!?」 「ふっ、甘いわよ祭梨ちゃん、元嘉多中節約女王こと高校生主婦のこの私の情報網にかからないお得情報なんて、この市内には存在しないわっ!」 そう言ったかよちゃんの目は輝きまくっていた。ああ、お金のようにも見える。普段はおっとりなのに、こうなると熱血だ。 「本当、節約にかけては私の情報網もをしのぐわね」 京奈の言葉に、あったりまえよ、と、かよちゃんは胸をそらせた。 そのとき、突然きゃあーっと歓声があがった。 「な、何この歓声・・・。」 「うちの学校も結構ミーハーよねえ」 ちょいちょい、と京奈が指を指す。 「東の男子よ。」 「あ・・あれが・・・」 これからどうなるのだろう。何となく、不思議な予感がしていた。 |






